【しぶマリ図鑑】タカアシガニ 迫力の長い脚

タカアシガニ

 長い。とにかく脚が長い。個体によっては脚を広げると4メートル近くにもなり、「世界一大きくなるカニ」として知られる。1980年代後半に台湾近海で見つかるまでは日本固有種だと思われており、岩手~九州の太平洋沖を主な分布域とする。

 水深50~300メートルの深海に生息。産卵期の春ごろになると、雌が比較的浅い海まで上がってくるという。県内の瀬戸内海は水深が浅く見られないものの、静岡、高知県などでは底引き網やかごによる漁も行われており、地元飲食店、市場などで提供されている。

 しぶマリでは全長1メートルほどの1匹を飼育。長い10本の脚を器用に折り畳んで息をひそめているときも多いが、ダンスを踊るように自在に操って水槽内を左右に動き回る姿は迫力満点。米国で確認されていた亜種は絶滅しており、岡秀彦館長は「日本が世界に誇る最大級の雄姿を見てほしい」と話す。

 ちなみに脚が10本あるものはカニ、8本のものはヤドカリの仲間。タラバガニは「ヤドカリの仲間です」(岡館長)。

 岡山県内唯一の水族館、玉野海洋博物館(愛称・渋川マリン水族館=しぶマリ)で飼育展示している生き物を紹介する。

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