福井の高校生によるイタチ研究「定説覆す大発見」 在来種と外来種の交配を指摘、林野庁長官賞

ニホンイタチの保護に関する研究で林野庁長官賞に輝いた藤島高校生物部の高崎悠衣さん(左)と吉田悠人さん=11月25日、福井県福井市の同校

 福井県立藤島高校生物部の2年生2人が、野生生物保護に関する環境省の発表大会で林野庁長官賞に輝いた。DNA分析を基に在来種のニホンイタチと、外来種のシベリアイタチとの交配が進んでいる可能性を指摘し、日本固有の生態系を守る大切さを訴えた。最高の環境大臣賞に次ぐ賞に11月25日、2人は「研究成果が認められてうれしい」と声を弾ませた。

 2人は高崎悠衣さんと吉田悠人さん。シベリアイタチが福井県内でも増殖していることを生物部で学び、研究テーマに設定。在来種と外来種の外観やDNAを比べるため、同県鯖江市や福井市自然史博物館に協力してもらい、県内で発見された固体の調査を続けた。

 DNAの塩基配列を詳しく調べたところ、母方がニホンイタチ、父方がシベリアイタチの雑種を発見した。同館学芸員によると、両種は染色体の形状が異なるため異種交配はできないと考えられており、「定説を覆す大発見」だという。

 在来種と外来種を見た目で判別する方法も調べた。一般的に知られている尾の長さを基準にすると、両種を混同することがある。2人は標本や文献を調べた上で、判別方法に「鼻の上部に白斑があるか」など二つの観点を加え、計三つの観点で見極める方法を提案。この方法の場合、ほぼ正確に両種を判別できることを証明した。

 シベリアイタチは家屋へ侵入することが多いことから狩猟対象に指定されており、2人は駆除を強化するよう訴えた。一方でニホンイタチのオスは現在、保護対象ではないため、個体数確保のため狩猟対象から外すべきだと求めた。

 発表大会は環境省が全国の小中高校を対象に毎年参加を募り、21日に授賞式があった。2人は「常識を疑ってみることの大切さが分かり、良い経験になった」と話した。

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