8本あるはずの足が数本欠けたタコが、岡山県近海のあちこちで水揚げされている。原因ははっきりしないが、専門家は地球温暖化などの影響で増えた魚に食べられる“食害”や、餌不足による共食いの可能性を指摘している。
「下津井ダコ」で知られる倉敷市下津井地区の漁協によると、足切れダコは数年前から目立ち、1~3本が根元からちぎれていたり、再生中の短い足が交じっていたりする。近年では水揚げ量の半分以上を占める日もあるという。
玉野市の漁協は「足切れダコが水揚げ量の約4割に上ったこともある」とし、同じ瀬戸内海では瀬戸内市や三原市でも確認されている。
タコの生態に詳しい東京海洋大の團重樹准教授は、餌のカニや貝が減っている一方、水温上昇などで“天敵”のハモやマダイが増えていることもあり「安全なすみかを離れて餌を探しているうちに食べられたり、共食いしたりするのではないか」と推察する。
足がそろわないタコは取引価格も落ちる。第一田之浦吹上漁協(倉敷市下津井田之浦)の岡耕作組合長(46)は「海の環境が変わったしわ寄せがタコに来ている。漁獲量も減っており、商売あがったりだ」と嘆き節を漏らす。