がん7種追加「大きな前進」 長崎市長、被爆体験者の医療費支給巡り

 長崎市の田上富久市長は26日の定例会見で、「被爆体験者」への医療費支給対象にがん7種類を加える政府方針について、「体験者(支援)制度の改善は求め続けてきた。助かる皆さんも出てくるという意味で、大きな前進と捉えている」と評価した。
 体験者は現在、被爆体験による精神疾患とその合併症に限り医療費が支給されるが、来年4月から大腸など7種類のがんも追加される。原爆の「黒い雨」被害を巡り、広島では被爆者認定される一方、長崎の体験者が認定対象から外れている問題について、田上市長は「広島と格差をつくってはいけないというのは(がん追加と)全く別の問題」と述べ、格差解消を国に求め続ける考え。
 ロシアのウクライナ侵攻や核の威嚇、核兵器禁止条約や核拡散防止条約(NPT)の会議開催など、今年の核情勢について「『核兵器が使われるリスク』は目の前にあると実感した一年。核兵器を使ってはならないと政府に求めるだけでなく、その意識を市民社会に広める必要がある」と振り返った。

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