“普賢さん”魅力向上へ始動 長崎・東町侍石自治会と市 雑木伐採、眺望スポットを再生

頂上付近から街を見守る不動明王像=長崎市、矢上普賢岳

 長崎市東部地区で“普賢さん”と呼ばれ親しまれる矢上普賢岳(439メートル)にかつてのにぎわいを取り戻そうと、東町侍石自治会と市が魅力アップの取り組みを始めた。第1弾は眺望を楽しめるスポットの再生。26日までに山頂付近の雑木を取り払った。今後も市民らに気軽に足を向けてもらう仕掛けづくりを進めていく。
 古くから子どもの遊び場や住民の憩いの場だった普賢岳。山頂までは中腹の駐車場から始まる登山道から約250メートル、30分ほどで登ることができる。途中、普賢山法華院龍神堂や普賢神社があるほか、登山者を見守る地蔵が点在し、神仏が集まる山として信仰の対象にもなってきた。数十年前までは頂上手前の「不動明王像」が地域のシンボルだったが、樹木が茂って麓から見えなくなった。山上からの眺めも悪くなり入山者も少なくなっていた。
 「昔のように、普賢さんに人が戻って来てほしい」。地域住民の声は2021年春、市提案型協働事業として提案され、採択された。同像付近の雑木伐採は12日に始まり、八島木材(同市現川町)の作業員が急勾配地にあった木々を剪定(せんてい)した。八島俊保社長(68)は「子どもの頃、下から不動さんが見えていたのをよく覚えている」と懐かしんだ。14~16日は機動隊(延べ約40人)もチェーンソー訓練の一環として800平方メートルの範囲を刈り取った。

12日に山頂手前800平方メートルの雑木伐採に着手、26日で作業を終えた

 現在、同像から130段ほど石段を上った山頂からは、女神大橋の橋脚上部や30キロ以上先の苓北火力発電所がある熊本県の天草方面も見渡せる眺望を取り戻した。
 自治会などは年度内をめどに、山頂までポイントをクリアしながら楽しむデジタルスタンプラリーも準備中。周辺も含めた見どころマップや地域の歴史を小中学生に伝え郷土愛を育む紙芝居制作の計画を通じ、地域のにぎわいや同山の再生を図る。
 東町侍石自治会の嵩下光彦会長(75)は「とてもすがすがしい気持ちになる。初詣にぜひ来てほしい」と話す。ただ「中腹の駐車場は15台分ほど。途中の道は離合ができず引き返しが難しいため、麓から歩きで入山をお願いします」と呼びかけている。


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