新潟県糸魚川市、大火から復活した日本料理店 北陸新幹線で福井から近くなるまち紹介

創業200年の日本料理店「鶴来家」を営む青木資甫子さん=新潟県糸魚川市の同店
大火の記録を伝えるキターレ広場=新潟県糸魚川市

 2024年の北陸新幹線福井県内延伸により時間的に近くなるのは東京だけじゃない。北陸3県を越えて新潟、長野、群馬、埼玉各県のまちにも気軽に出かけられる。一足先に各駅沿線を巡ると、観光スポットやグルメに加え、多くの温かい笑顔に出会えた。

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 江戸時代から続く創業200年の日本料理店「鶴来家(つるぎや)」は、新潟県糸魚川市のJR糸魚川駅から徒歩10分のところにある。ノドグロやアンコウの新鮮な刺し身に、採れたてのモズク。自家製の野菜、山菜、コシヒカリ。人気の御膳を、日本海を眺めながら楽しめる。

 両親と一緒に店を切り盛りするのは若女将の青木資甫子さん。料理人の父・孝夫さん(72)と、調理場に立つこともある。

 糸魚川市で生まれ、東京の大学に進学。そのまま電機メーカーに就職した。「海に沈む太陽を見られることが、当たり前ではないことに気付いた。心のどこかに店のことがあった」

 料理の修業をし、2016年から店で働くようになった。そして同年、大火に見舞われた。この日、店は休み。家族で東京に買い出しに出ていた。連絡を受け帰ると、街全体が赤く燃えていた。店は全焼したが、資甫子さん親子は、翌日から店の再建に動き出した。

 3年後、元の場所で店をオープンした。古い日本家屋はモダンな建物に変わった。「ようこそお越しくださいました」。着物姿で、客を出迎える資甫子さんの笑顔は変わらぬままだ。

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糸魚川で見つけた

▽復興伝える憩いの場「キターレ」

 2020年に大火の被災地の中心部に市民の憩いの場として整備された「キターレ」。大火に関する展示もあり、後世に伝える場にもなっている。非常時には避難場所としても利用できる。地下には200トンの防火水槽が埋まっており、大火からの復興のシンボルの一つとなっている。

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