『受験シーズンはいつ?』 長崎県内私大 出願は実質半年 18歳人口減、定員確保に苦慮

2月以降も出願可能な県内私大の入試区分(募集要項による)

 長崎県内の私立6大学で、2023年度入学者の選抜が進んでいる。18歳人口が減少する一方、入試区分は複雑化。出願受付期間は実質半年にわたり、いわゆる「受験シーズン」が見えにくくなっている。

 ■11月に最速合格
 大学入試の区分は大きくみて一般選抜、総合型選抜、学校推薦型選抜の3種類。このうち、総合型選抜は書類審査や面接を組み合わせて判定する入試。学校推薦型選抜は出身高の推薦に基づき調査書を主な資料として判定する入試だ。
 県内私大の入試スケジュールをみると、総合型選抜では9~10月にエントリーや出願を開始し、11月に最も早い合格者を出した。学校推薦型では、11月に出願を開始し、最初の合格発表は12月。ただし総合型選抜で各校は「出願-試験-合格発表」のサイクルを3月まで複数回繰り返すため、今後も出願が可能だ。

 ■複数回に増やす
 一方、1月からは一般選抜の出願もスタート。同様に「出願-試験-合格発表」のサイクルを3月まで複数回繰り返す。一般選抜には大学入学共通テスト利用者を対象にした個別試験なしの出願枠もある。
 複雑化している私大入試制度。ある私大の事務関係者は「18歳人口が減少しているため、1回の試験で定員を充足させるのは難しい。募集を巡っては他大学とも競合しているので、受験機会をできるだけ増やして学生を確保したい」と苦慮する事情を明かす。

 ■1大学分消えた
 文部科学省の学校基本調査によると、本県高卒者のうち大学進学した人の数は、母数の高卒者の減少が著しいため、進学率の上昇にもかかわらず減少している。2022年の4年制大学進学者は4898人で、10年前に比べ293人減少した。この人数は6私大の23年度募集定員の平均(269人)より多い。この10年間で1大学分の進学者がまるまる消えた計算だ。
 国公私立大の入学者を選抜する大学入学共通テストの県内志願者数は、今年初めて5千人を割り込んだ。私大にとっては倍率が低下した国公立大へ学生が流れる可能性も気がかりだ。ある私大関係者は「大学が多過ぎる」とつぶやいた。


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