「長崎県勢はもろくない」海星・加藤慶二監督 県勢初 センバツ2校出場インタビュー<中>

「長崎日大より先に帰るわけにはいかない」と話す加藤監督=長崎市、海星高三和グラウンド

 -昨夏の甲子園出場で今季は始動が遅れた。秋までの練習試合も6試合だけで2勝4敗。そこから九州4強で選抜切符を手にした。要因は。
 県内でも力は4、5番手だと思っていた。ボロが出なかったという点が大きいと思っている。
 -県内屈指の伝統校の監督になって20年以上。今回は46年ぶりの“夏春連続”出場も果たす。
 それを意識しながら過ごしたことはない。当初は長く続けようと思っていなかった。気が付いたらここまで来たという感じ。46年ぶりというのも知らなかった。毎年毎年が勝負で、日々、選手に対して許せないことがあったり、ライバルに負けて悔しかったり、何が足りないのかとか、そんなことしか考えていない。歴史も時々は振り返るけど、二の次、三の次。

 -近年は九州で県勢の好成績が目立つ。
 長崎は激戦。上位校は九州大会に出るだけじゃ満足せず、高い意識で戦えていると思う。九州に出ればこんな感じという免疫ができている。悪口になっちゃいけないけど、昨秋の九州大会でも他県は個の能力が高い中、もろさがあった。長崎のチームは派手さはないけど、もろくない。特に守備。しっかりと足を動かしていい捕球をする。うちの打球を相手が足を使わず捕ろうとした結果、ヒットになって救われた場面もあった。

 -長崎は公立も強い。トーナメントを勝ち抜く上で脅威になっている。
 優勝まで勝ち上がる力はなくても、強豪私立を食うような公立校が長崎には多い。だから対策として、県外で私立を倒すのがうまい公立と試合をしに行く。うちの選手が(あえて)へばった状態で。共通点が見つかる。

 -高校野球界の課題について。競技人口が減る中、他競技に比べ、中学生との接触、交流などの禁止事項が多い。県内の中高連携を図る上で足かせになる“縛り”が多い気がする。
 中学との垣根をなくすしかないと思う。野球は昔、社会人にプロとアマチュアの垣根があって、五輪にプロ選手は出られないとか変なことがよくあった。今は解消されてきて日本代表もドリームチームになって注目されるようになったけど…。今、その垣根があるのが少年野球と高校野球。例えば、中学が高校に連絡すれば練習参加が簡単にできるようなシステムもほしい。何でいけんのやろうか、やればいいのにと思うところはある。

 -春は7年ぶりとなる甲子園。目標を。
 7年前は春がピークで夏はもぬけの殻になった記憶がある。言葉が悪いかもしれないけど、新3年生には“おまえらは力がないから、夏にどんなに頑張っても行けないかもしれない。となると今回が最後の甲子園。覚悟を決めて勝負かけろ”と言った。もちろん、それで本当に夏は行けないようじゃ駄目だけど、春を通過点と考えたら何も得るものはないと思う。目標は3勝以上。前回2勝なので。組み合わせによるけど、4強以上。長崎日大より先に帰るわけにもいかない。

 【略歴】かとう・けいじ 広島工高、日体大卒。高校時代は主将兼三塁手で夏の甲子園8強に貢献。大学でも首都大学リーグで首位打者賞、ベストナインに輝いた。JR九州で社会人野球を経て2000年に海星高へ赴任。01年秋から監督を務める。保健体育教諭。48歳。


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