安保3文書関し「攻撃危険性高まる」 名古屋学院大教授が長崎で講演会 隊員の負傷想定と指摘

オンライン上で講演する飯島教授=長崎市桜町、長崎地区労会館

 反撃能力(敵基地攻撃能力)保有を盛り込んだ昨年12月の安保関連3文書改定について、名古屋学院大の飯島滋明教授(憲法学)は4日、長崎市内で開かれた講演会にオンラインで参加し、「かえって外国から攻撃される危険性が高まる」などと問題点を指摘した。
 飯島教授によると、3文書の一つ「防衛力整備計画」は緊急外科手術に関する教育課程の充実や自衛隊員の身体情報のデータ化、沖縄県にある自衛隊病院の地下機能強化などを盛り込んでいる。これらは隊員が戦場で負傷することを想定したもので「最初に派遣される可能性が高いのは本県の部隊だ」と述べた。
 国が、防衛力の強化によって相手国に侵略する意思を抱かせず、抑止力につながるとしている点について「(例えば)北朝鮮はミサイル発射を繰り返すから何もしないでおこう、とはなっていない。武力を持てば対抗措置を取られ、東アジアに軍拡をもたらす危険性がある」と反論。外交や経済的な結び付きを強める国際協調主義の重要性を唱え、「戦争で片を付けようと考えることの方がよほど平和ぼけだと認識する必要がある」と話した。
 講演会は、安全保障法制は違憲だとして国に損害賠償を求めた訴訟の原告団や支援者が主催。一審長崎地裁は請求を棄却し、福岡高裁で係争中の控訴審は今月28日に結審する見通し。

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