ウクライナのソプラノ歌手「平和祈って歌う」 長崎、佐世保でチャリティーコンサート

民族衣装の上に国旗を羽織り、ウクライナ国歌を斉唱するオクサーナさん=長崎原爆資料館ホール

 ロシアのウクライナ侵攻から1年になるのを前に、ウクライナからの避難民を支援するチャリティーコンサートが長崎市と佐世保市で開催された。ウクライナ出身のソプラノ歌手で民族楽器バンドゥーラ奏者として東京を拠点に活動しているオクサーナ・ステパニュックさん(45)らが、民謡などウクライナの歌と音色を響かせ、来場者は戦火にある同国に思いをはせた。
 長崎市では9日、長崎平和推進協会が平野町の長崎原爆資料館ホールで開いた。曲にまつわるウクライナの風習や日本との違いを紹介し、長崎にちなみ「長崎の鐘」やプッチーニのオペラ「蝶々夫人」より「ある晴れた日に」を歌い上げた。
 長崎大の避難学生11人も訪れた。セラフィマ・メリニチュックさん(19)は「支援の心を感じられて前向きな気持ちになれた。苦しみを分かってくれる人が長崎にたくさんいることが分かり、ありがたい気持ち」。オクサーナさんは「長崎の人たちが応援してくれていることを深く感じた。これから私たちは平和な国を次の時代に残さないといけない。私の芸術、慈善活動でこの世界を美しい場所にしたい」と力強く語った。
 会場には募金箱を設置。募金は長崎の避難学生の支援に充てられる。オクサーナさんは、公演前に松山町の爆心地公園を訪れ、原爆落下中心地碑に献花した。
 佐世保市では10日、国際ソロプチミスト佐世保(金子有子会長)と国際ソロプチミスト佐世保-パール(川添麗子会長)が松浦町のJAさせぼホールで開いた。ウクライナ国歌を歌い「アヴェマリア」「見上げてごらん夜の星を」などを演奏。ドラマチックな歌声と趣深い楽器の音色とともに「平和を祈って歌う。音楽の力で世界中の人を見守りたい」と語りかけた。
 避難学生らも来場。開催に協力した支援団体「ウクライナ ハウス ジャパン(東京)」の天江英美事務局長は「ウクライナの方々には日本で学んだことを祖国の復興に役立ててほしい」と会場で呼びかけた。
 入場料や協賛金などの益金は長崎日本語学院を運営し避難民10人を受け入れている南風崎MGレヂデンスに寄付した。


© 株式会社長崎新聞社