気象警報の発表区分どう決まる 市町単位から細分化された例も 【あなた発 とちぎ特命取材班】

古くから「那須の玄関口」とされてきたJR黒磯駅の駅前=15日午後、那須塩原市本町

 「天気の注意報で日光市の場合は地域別に分かれて発表されるのに、那須塩原市は分かれていない。なぜ?」。下野新聞「あなた発 とちぎ特命取材班」(あなとち)に、那須塩原市の50代女性から調査依頼が届いた。

 大雪などによる災害への備えとして、重要な情報となるのが気象警報や注意報。市町単位で発表されるのが一般的で、栃木県内では日光市のみ旧市町にあたる5地域別で発表される。発表区分に何らかの基準があるのだろうか。

 約1500平方キロメートルの日光市ほどではないが、那須塩原市も約593平方キロメートルと県内2番目の面積がある。天気が変化しやすい山地を有するのも同じだ。

 女性が住むのは市街地の黒磯地区。山間部を含む塩原地区とは天気が違う日もあるため、発表区分が分かれていないことに疑問を感じていたという。

 発表区分について、宇都宮地方気象台の気象情報官、中根秀行(なかねひでゆき)さん(56)に尋ねた。

 県内の発表区分は気象庁の見直しに沿って、ここ20年で細分化が進んだ。2002年に南部、北部の2区分から、県央部、那須地域、日光地域など5区分に変更。さらに10年には市町単位に細分化され、よりきめ細かな情報を伝えられるようになった。

 その後、20年に日光市が日光市今市、日光市藤原など5地域に分けられた。全国で市町単位からさらに細分化されているのは、仙台市、広島市など少数だ。

 細分化の対象となるのはどんな市町なのか。明確な基準はないが、(1)市町側から要望がある(2)気象に地域ごとの違いがある(3)地域単位で防災体制が敷ける-といった点を満たしている必要があるという。

 現状では、那須塩原市から細分化の要望はない。同市危機管理室は「気象台の警報だけでなく、市でもアメダスや雨量計、河川カメラなどを監視している。災害対応時には旧市町単位で現地本部を設置しており、防災体制は全市的に十分だと考えている」とする。

 中根さんには、警報や注意報を発表するタイミングについても聞いた。気象台では発表区分ごとに、過去の災害データから降雪の深さや雨量指数などといった基準値を細かく定めている。上回ることがあれば警報や注意報を発表し、事前に注意を呼びかける。

 同一の区分内で天気が異なることはあるとしつつ、「警報が出るのは災害の恐れがあるということ。逃げ遅れの危険性もあるので、最新の情報を注視するようにしてほしい」と話した。

日光市内5地域と那須塩原市などに大雪警報が発表されたことを表す気象庁ホームページの画面=10日

© 株式会社下野新聞社