冬の荒波も室内から堪能…東尋坊に「ビジターセンター」、岩場に最も近く絶景目の前 福井県坂井市が2027年度完成目指す

東尋坊ビジターセンターの完成イメージ図

 福井県坂井市は3月15日、東尋坊(同市三国町安島)の再整備計画で新たなシンボルとなるメイン施設「ビジターセンター」のイメージ図を公表した。悪天候や冬場でも絶景を眺めることができる全天候型の複合施設で、岩場に最も近い位置に新設する。独特の地質構造「柱状節理(ちゅうじょうせつり)」をモチーフに自然に溶け込んだデザインとし、2025年度中の着工、27年度中の完成を目指す。

 同日の市会産業建設常任委員会で理事者は「地権者の建設了承が得られた」と説明した。

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 市は当初、整備計画の目玉として崖付近を通る「空中散策路」を掲げたが、景観や文化財保護の観点から国の承認が得られず21年秋に断念。代替として商店街本通り入り口付近を想定したビジターセンターを、崖付近に移した上で規模を拡大する計画を検討し、地権者と協議を重ねてきた。

 市によると、センターの建設場所は土産兼飲食店と空き店舗があるエリア。吹き抜けを設けた2階建てで、延べ床面積は約3500平方メートル。前面をガラス張りとし、天候に左右されず迫力ある岩場や美しい日本海を一望できるようにする。柱状節理を学ぶ展示室や修学旅行者の受け入れを想定した多目的室のほか、遊覧船チケット売り場、飲食、テナントスペースを設ける計画。屋上部は緑化してテラスを設置する。

 再整備計画は23年度から本格化する。渋滞緩和を目的とした入り口の新設に伴う県道拡幅や駐車場の一元化に向けた基盤整備に着手する。北陸新幹線県内開業を見据え、既存商店街では東尋坊まちづくり会社が定めた統一性あるデザイン指針を基に、24店のうち14店を来年度にかけて段階的にリニューアルし、県内屈指の観光地に磨きをかける。見晴らしの良い中広場に沿って散策路「雄島軸」を整備して新たな商店街を形成する計画もあり、ビジターセンターと合わせて27年度中の整備完成を目指していく。

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