毎年12月に行われる赤穂義士祭で、行列の参加者にわらじを提供している兵庫県赤穂市の市民グループ「手作り文化伝承の会」が初めてわらじ作りの講習会を開いた。手作りのわらじは秋祭りなどでも使われているが、会員の高齢化などで量産が難しくなり、提供を断る行事も出てきた。会員以外でも編めるように広く作り方を伝えることにした。(小谷千穂)
同会は2003年、市から依頼を受けた老人クラブ連合会が設立した。翌年から、義士祭の行列に装束姿で参加する市民のために製作するほか、市内各地の秋祭りで獅子舞を奉納する氏子たちにも提供している。
ピーク時は18人で年間400足を作ったが、会員の高齢化で今は50足ほどが限界。いくつかの神社への提供を断らざるを得ない状況のため、会員以外に作れる人を増やすことを考えたという。
講習会は今月14日、市中央公民館で開催。義士祭や秋祭りの関係者、地域住民ら14人が参加した。会員らの指導で、1段ずつ上下を変えて編み込む「たたみ編み」に挑戦。木づちでたたいて柔らかくしたもち米のわらを使い、約5時間かけて自分の足のサイズに合ったわらじを完成させた。
女性が主役となる「春の義士祭」に出演している上仮屋獅子保存会の金井貴子さん(63)=同市=は「わらじを使わせてもらってきた立場として、少しでも継承できれば。最初は難しかったけど、慣れてくると時間を忘れて集中できる」と楽しげに手を動かしていた。
手作り文化伝承の会の松本一郎会長は「わらじを必要としている人、わらじ作りに興味がある人を巻き込んでいきたい」と話す。
会員は随時募集。市総合福祉会館などで不定期に活動している。