清酒大手の白鶴酒造(神戸市東灘区)で25日、毎年恒例の梅酒の仕込みが始まった。清酒の寒造りが終わって空いた醸造用タンクを使用する初夏の風物詩で、収穫したての紀州産の梅が工場内にほのかに香りを漂わせた。
同社によると、梅酒の国内需要は物価高などによる個人消費の冷え込みもあって横ばいだが、台湾や中国など東アジアでの人気は堅調で、海外輸出額は増加傾向にあるという。
同日は、収穫時期が早く「青いダイヤ」と呼ばれる希少な古城梅3トンを搬入。専用の機械に入れ、日本酒に使うのと同じ仕込み水で丁寧に洗浄した後、アルコールと液糖が入ったタンクに漬け込んだ。
6月上旬からは香りが良い完熟の南高梅150トンを仕入れて仕込む予定。いずれも2カ月ほどで梅の実を引き上げ、さらに熟成させて来春以降、順次出荷する。
同社参与で日本酒杜氏の小佐光浩さん(59)は「今年は実が大きく梅のエキスが出やすいので、期待が持てそうです」と笑顔で話した。(大盛周平)