「人生を全うして」 那須雪崩事故遺族、新規採用教諭に向け講話 宇都宮

新採教諭向けの研修で講話する高瀬晶子さん=25日午後、宇都宮市内

 2017年3月の那須雪崩事故で亡くなった高瀬淳生(たかせあつき)さん=当時(16)=の母晶子(あきこ)さん(56)が25日、宇都宮市内で新規採用教諭約90人を前に講話し、再発防止を訴えた。

 県教委による研修の一環。晶子さんは冒頭、「息子が生きていたら、この春社会人になっていたかもしれない」と新規採用教諭に愛息の姿を重ね、「人生を全うしてください」と声を震わせた。

 事故の背景には、訓練場所の下見や装備、気象情報の確認など、教諭らの準備不足があったと指摘。講習内容の代替案も用意されていないなど危機感の欠如にも触れ、「悲惨な事故は雪崩が起きる前から始まっていた」と語った。

 新規採用教諭へは「少しでも疑問を持ったら立ち止まるという思考と行動が、子供と先生自身を守る。被害者にも加害者にもなってほしくない」と呼びかけた。

 講話を聞いた栃木特別支援学校の栗原彩華(くりはらあやか)教諭(24)は「命と隣り合わせの教育現場で事前準備にやり過ぎはない。気を引き締めていきたい」と話した。

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