中能登でお試し移住 町営住宅、最大7泊1000円

お試し移住で貸し出す部屋。家具や家電は町が用意した=中能登町春木

 中能登町は人口減少対策の一環として、町営住宅の空き室を移住希望者に貸し出す「お試し移住」と銘打った事業を始めた。家具や家電は町が用意し、移住希望者は最大7泊まで滞在できる。料金は破格の一律千円で、宿泊費を気にせず、地元農家と触れ合いながら田舎暮らしをのんびりと体験してもらい、将来的な移住につなげる。

 貸し出すのは同町春木にある5階建ての「コーポとりや」で、周辺にはコンビニやスーパーなどがある。5階の3DK一室を移住希望者に貸し出し、最大5人まで利用できる。町がお試し移住用に冷蔵庫や電子レンジ、布団などを用意した。

 町によると、町内には国史跡の石動山や雨の宮古墳群、特産のどぶろくといった観光資源があるが、宿泊施設が少ないため、これまで長期滞在する観光客があまりいなかった。このため、空き室となっていた町営住宅の有効利用も兼ねて事業に乗り出した。

 町営住宅がある春木は、農事組合法人「能登やまびこ」を中心に農業が盛んで、国特別天然記念物トキの放鳥モデル地区にも選ばれている。お試し移住の利用者は収穫体験などを通じて地元農家と交流を深めることもできる。

 お試し移住は10月末まで実施する。利用できるのは移住を検討している人で、住み心地や町の良さなどを尋ねるアンケートに協力してもらう。

 中能登町は七尾、羽咋両市と連携した広域的な移住施策を進めており、今年度は親子で地方に1~3週間移住する「保育園留学」などを実施した。町企画課の担当者は、人口減少は喫緊の課題であるとし「今後も中能登の豊かな自然や食の魅力を肌で感じられるような事業を展開していきたい」と話した。

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