秋風に揺れ…「若狭かれい」天日干し、皇室献上の味覚 福井県小浜市の鮮魚店

秋晴れの下、天日干しされる若狭かれい=11月9日、福井県小浜市川崎2丁目の魚安商店

 11月9日の福井県内は高気圧に覆われ、各地で9月下旬から10月中旬並みの陽気となった。小浜市内の鮮魚店では青空の下で冬の味覚「若狭かれい」が天日干しされ、秋風に揺れている。

 若狭かれいは若狭湾で水揚げされた甘みが強く上品な味わいのヤナギムシカレイ。漁期は毎年10月から翌3月ごろまでで産卵期を迎える、12月ごろまでが出荷のピークとなる。卵を抱えた雌はオレンジの卵巣と白身のコントラストで見栄えも良く、卵の濃厚なうま味が味わえる。毎年冬には、厳選された若狭かれいが皇室に献上される。

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 同市川崎2丁目の若狭小浜お魚センター内にある魚安商店では、体長20~25センチほどのカレイのうろこや内臓を取り、塩を振るなど下処理し、翌朝に串に刺して天日干しする。うま味が凝縮され、身の透明感も増すという。4代目の毛利昌一さん(47)は「この時季の浜風で干したかれいが一番おいしい。たくさんの人に食べてもらいたい」と話した。

 福井市ではこの日、最高気温25.2度を観測。同市の夏日は今年140日目に達し、1897年の観測開始以降、最多だった2019年の記録に並んだ。10日の県内は、前線が通過し、夜は寒気の影響を受ける見込み。

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