元世界女王・渡部香生子&リオ五輪銀・坂井聖人がインスタで“1日違い”の現役引退報告。2人とも「水泳に後悔なし」を強調

競泳ニッポンの一時代を築いた男女スイマーが現役生活に終止符を打った。

6月1日、2015年世界選手権金メダリストで、五輪にも3大会連続で出場した競泳女子の渡部香生子が自身のインスタグラムを更新し、現役引退を発表した。前日にはリオ五輪銀メダリストの坂井聖人も同じく引退を表明しており、日本の競泳界を牽引してきた実力者2人が水泳人生に区切りをつけた。

12年のロンドン五輪に当時15歳で出場した渡部は3年後の世界選手権で200m個人メドレーを日本新記録(当時)で泳ぎ銀メダル。さらに、本命種目である200m平泳ぎでは世界記録保持者のリッケ・ペダーセン(デンマーク)との激しい競り合いを制し、金メダルを獲得するなど、平泳ぎのエースとして活躍。五輪本大会では思うような結果を残せなかったが、日本女子競泳陣の中心として存在感を発揮した。

渡部は「3月に行なわれた代表選考会を最後に競技を引退することを決意しました」と報告。23年にも渡る水泳人生を次のように振り返っている。

「物心のついた時から生活の中心であった水泳を離れることに寂しさもありますが、競技者としては後悔がないのが本音です。ただ泳ぐのが楽しくてやっていた水泳から、2010年の全国中学の結果でわたしの水泳人生はガラリと変わりました」

「そこから14年、ここでは書き切れないほどの嬉しいことや辛くて苦しい日々もたくさんありました。それでもここまで頑張ってこれたのは所属の名岐不動産をはじめ、どん底にいたわたしを救ってくださった高城先生、快く受け入れてくれたチームメンバー、そしてたくさんの方々の応援とサポートがあったからだと感じています。本当にありがとうございました」
そして、渡部と同じ早稲田大の先輩にあたる坂井も5月31日にインスタ内で引退報告を綴った。「3歳から水泳を始め、25年間競技をやってきました。思うことはたくさんあるし、書きたいこともたくさんあります。自分で言うのはあまり良くないですが本当によく頑張ったなと思います」と、自分自身を労った。

今後は、水泳に携わる仕事やアパレル関係の仕事に携わりたいと希望しており、「一つだけ言えるのは水泳をやってきて後悔をしたことは一度もありません。本当に水泳が大好きでした。楽しかったです!みなさん本当にありがとうございました」と感謝を記した。

バタフライが専門の坂井は、21歳の時に初出場したリオ五輪で世界に鮮烈なインパクトを残した。200m決勝に進出すると、後半に猛烈な追い上げを見せて前を泳いでいた瀬戸大也やチャド・レクロス(南アフリカ)などを交わし、最後は「水の怪物」と呼ばれた超人マイケル・フェルプス(米国)を猛追。わずか0.04秒及ばなかったものの、初の大舞台で銀メダルを獲得する快挙を成し遂げた。18年以降は肩の怪我の影響で代表から遠ざかり、東京大会とパリ大会の日本代表入りを逃していた。

ともに今年3月のパリ五輪代表選考会では落選。奇しくも同じようなタイミングで、2人は現役生活に別れを告げた。

構成●THE DIGEST編集部

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