長崎県壱岐病院に「REシステム」 太陽光と水素活用の発電設備 電力インフラを強化

RE水素システムのイメージ

 再生可能エネルギーの利用促進に力を入れる長崎県壱岐市が、県壱岐病院に太陽光と水素を使った発電設備「RE水素システム」を導入する計画を進めている。災害発生に備えて基幹病院の電力インフラを強化する狙いがあり、副次的に発生する酸素や熱は医療現場で活用してもらう。本年度は現地調査などを始め、2026年度の運用開始を目指す。
 同システムは、病院屋上などに設置した太陽光発電で電力を供給するほか、余った電力で水の電解装置を動かして水素(RE水素)を発生させる。夜間や悪天候時はタンクに貯蔵したRE水素で燃料電池を起動して電力を供給する。
 電解装置や燃料電池から排出する熱は病院内の給湯設備に利用。電解時に発生する酸素はオゾンに転換して殺菌に使うほか、将来的に患者へ投与できないか検討する。
 計画では病院に最大150キロワットを供給。本年度は事業に必要な太陽光パネルや燃料電池の規模などを現地調査するほか、基本設計に着手する。
 経済産業省は計画を「エネルギー構造高度化・転換理解促進事業」に採択。本年度の事業費約3千万円を交付する。
 壱岐市は19年に国内の自治体で初めて「気象非常事態宣言」を発表。50年までに再エネ導入率100%を目指している。
 21年から東京大先端技術研究センターや民間企業と協力し、フグ陸上養殖場で同システムの実証実験を実施。一定の成果を上げたことから県壱岐病院への導入準備を進めていた。
 市SDGs未来課の篠崎道裕課長は「病院は地域の重要な拠点。システムの導入で災害発生時の電力インフラの強靱化(きょうじんか)につながる」と話している。

壱岐市が「RE水素システム」の導入を計画している県壱岐病院=同市郷ノ浦町

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