前しか見ないドライバー!後ろの“路面電車”に気づかない…“ドラレコ”が捉えた危険な瞬間 見通しよい交差点でなぜ?富山

“路面電車の街”である富山市。そこで、路面電車と車の接触事故が相次いでいます。事故は見通しが良いはずの交差点でも発生。どのような事故が多いのか、電車のドライブレコーダーの映像などから、その原因を調べました。

前方が破損した状態で停車している市内電車。ぶつかった衝撃で車の運転席側は大きくへこんでいます。5月1日に富山市桜町で発生した事故。

乗用車が後ろからくる市内電車に気づかず、軌道を横切ってUターンしようとしたところ、電車と衝突。

乗客24人と乗員1人にけがはありませんでしたが車を運転していた女性がケガをしました。

多発する事故、原因は車の後方確認不足!

富山地方鉄道によりますと直近5年では市内電車と車の接触事故は平均で1年間に13.4件。ところが、今年度は4月と5月の2か月ですでに4件発生していまます。

このうち3件はドライバーが後ろをよく見ていなかったことが事故の原因でした。

ドライバーの後方不注意で事故になりそうになったケースはこれまでも度々。電車に設置された“ドライブレコーダー”の映像では、動き出した赤色の車が急な右折をします。

富山地方鉄道・六軒正裕運転区長: 「現場は道幅が広くおそらく電車がぜんぜんサイドミラーには映らないくらい広いところで、急にUターン開始しましたので、電車の存在にはまったく気づかずに、なのでこういうのはやっぱりドキッとしますよね」

また、こちらの交差点でも急な右折が発生。

富山地方鉄道・六軒正裕運転区長: 「1台目の車が明らかに境界線より内側に入ってますので、電車手前で待って車を先に行かせたところ2台目の車もつられるようにして右折をしたと、 おそらく市内電車の存在に気づいてないのだと思いますよ、前方の対向車の切れ目ばかり注視してるんじゃないかなと思いますね」

事故は “見通し良い” 交差点でも…

一方、今年度、接触事故が発生した場所を調べてみると5月14日に富山市五福で起きた事故は道幅が広く見通しの良い交差点。

また、その翌日に富山市丸の内で起きた事故は、電車用の信号機がある交差点でした。いずれも一般的に事故が起きにくいとされている場所ですが、今年度はこうしたところでも接触事故が相次いでいるのです。

富山地方鉄道・六軒正裕運転区長: 「五福の交差点とかは交差点の広さがかなり広くて道幅もあって車もスピード出しやすい状況になってるので、あそこの交差点は注意が必要かなと思います」

見通しがよい交差点で道幅も広いと、車のスピードを出しやすいため、危険度が増す一面もあるといいます。

軌道内は原則、車両の通行は禁止。右折や左折などで軌道内に入る際は後方から路面電車が近づいていないか周囲の安全をしっかり確めて電車の通行を妨げないよう注意が必要です。

富山地方鉄道・六軒正裕運転区長: 「市内電車は車と違って止まるのに車から見ると3倍の距離がかかりますので、電車は急には止まれませんので、そのことも頭にいれていただいて、右折もしくはUターンを開始していただきたいと思います」

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