空港新駅「対話していきましょう」JR東海社長歩み寄りの姿勢? リニア問題の“切り札”となるか 鈴木静岡県知事と初のトップ会談

リニア中央新幹線の対応をめぐり、静岡県の鈴木康友知事とJR東海の丹羽俊介社長が6月5日、初めて会談しました。トップ会談によってリニア問題の議論は進展するのでしょうか。

【写真を見る】空港新駅「対話していきましょう」JR東海社長歩み寄りの姿勢? リニア問題の“切り札”となるか 鈴木静岡県知事と初のトップ会談

<坂口将也記者>
「いま、JR東海の丹羽社長が知事室に入っていきます」

5日午後4時過ぎ、鈴木知事との面会に訪れたJR東海の丹羽俊介社長。初めての会談です。

<JR東海 丹羽俊介社長>
「リニア中央新幹線南アルプス静岡工区について、大井川の水資源の利用に、影響を与えない、それから南アルプスの環境保全に最大限努めるということで取り組んできている。鈴木新知事のもとで、静岡県と当社の関係をさらに深めていきたいと考えている」

<静岡県 鈴木康友知事>
「リニア中央新幹線については、私も推進の必要性があると理解している。ただ、大井川の水資源の確保と南アルプスの生態系の保全との両立を図るという方向性は堅持していく。こうした中、岐阜県瑞浪市で井戸の水位が低下するという問題が起きた。こうしたことも含めて、率直な意見交換できたらと考えている」

鈴木知事が就任して1週間ほどで実現したトップ会談。その背景には、長年、膠着状態が続くリニア新幹線静岡工区の問題があります。

“国策”ともいえるリニア中央新幹線は、品川と名古屋をわずか40分で結ぶ計画です。

<静岡県 川勝平太前知事>
「とてもではないけど(工事の)GOサインを出せる状況ではない」

この計画にストップをかけたのが、川勝前知事です。大井川の水や環境を守るとして静岡工区の着工を認めず、県とJR東海の議論は進まなくなります。

こうした状況を打開しようと、当時のJR東海・金子慎社長が2度にわたって、準備工事を直談判してきましたが、進展はありませんでした。さらに、丹羽社長も川勝前知事と会談し、静岡工区の早期着工への理解を求めてきました。こうした中、今回行われた鈴木知事と丹羽社長のトップ会談は非公開で30分ほど行われました。

<JR東海 丹羽俊介社長>
「大変有意義だった。鈴木知事は非常に熱心に耳を傾けていただけて、大変率直な意見交換ができた」

<静岡県 鈴木康友知事>
「静岡県の経済的なメリットについても、今後は環境問題とは別に議論する必要があるので、その停車本数がどれくらい増えるか、東海道新幹線の、そこはJR東海に回答してほしいと話した」

そして、開業による静岡県のメリットとして注目される東海道新幹線の空港新駅の設置について、丹羽社長は従来とは異なる反応を示しました。

<JR東海 丹羽俊介社長>
「私どもとしてはお話を伺って、静岡県さんの考えを受け止めながら、対話をすることが大事だと、対話をしていきましょうと申し上げた」

<静岡県 鈴木康友知事>
「長期的な課題として、現状では具体的に話ができる段階ではない。可能性としてどうか、課題のあることなので、またコミュニケーションをとろうと丹羽社長から回答いただいた」

© 静岡放送株式会社