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踏切を横断する歩行者の安全の確保などを目的に工事が進められてきたJR南武線稲田堤駅の自由通路が、6月2日に全面開通した。同日、駅近くにあるJAセレサ川崎菅支店で式典が行われ、テープカットセレモニー終了に合わせて供用が開始された。
同駅にはもともと線路の北側のみに改札口があり、踏切の遮断時間が長い「開かずの踏切」となっていたことや、滞留する歩行者と自動車との接近があり危険性が高いことなどから、駅利用者の安全確保や利便性向上を求める声があがっていた。川崎市では南武線武蔵溝ノ口駅以北の片側改札口の5駅(稲田堤・中野島・宿河原・久地・津田山)について、利用者の利便性・安全性や鉄道による地域の分断を改善させるため、2009年度に策定した「南武線駅アクセス向上方策案」に基づき、運営会社のJR東日本と協定を締結。同駅の橋上化に向けた整備を進めてきた。
昨夏、橋上駅舎に
2019年6月に工事が始まり、仮駅舎の供用を経て、昨年8月6日に橋上駅舎と自由通路の南側部分の使用が開始された。そして今年6月2日、着工から5年の歳月を経て、自由通路の北側部分が開通した。
自由通路の全面使用開始により、踏切を渡ることなく、南北の両側から橋上にある改札口にアクセスすることができるようになった。
強い要望、形に
全面開通に先立ち、市や地元町内会、鉄道会社や工事関係者らが出席して6月2日に行われた式典で福田紀彦市長は、「全面開通したことで、より安全で安心な環境が整った。地元の皆さんの思いが形になったことが非常にうれしい」とあいさつ。地元の菅町会の濃沼健夫会長は、工事の経過などについて振り返りながら、「自由通路は20年以上前から、菅に住む皆さまからの本当に強い要望だった。本日を契機に、菅のまちが交通事故の無いまちになることを祈願する」と祝辞を送り、関係者に感謝の思いを伝えた。
開通のセレモニーとして、市長や濃沼会長らによるテープカットが行われ、それに合わせて自由通路の使用が開始された。加えて、昨年8月6日から同駅では、発車メロディーに作曲家の古賀政男が稲田堤の多摩川河川敷を訪れて着想を得たとされる楽曲『丘を越えて』を採用していることから、この日の式典ではその音源を提供した県立多摩高校ギターアンサンブル部による演奏も行われた。
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