「自動ドアに当たりケガをした。治療費を出せ。職員の対応をYouTubeに掲載する」県職員を恫喝…カスハラ対応は? 県が対策強化へ

顧客からの不当な行為や理不尽な要求などの迷惑行為「カスタマーハラスメント」が社会問題となる中、鳥取県は6日、対策を強化するためプロジェクトチームを発足させ、今後の対応について話し合いました。

カスタマーハラスメント(カスハラ)は近年、様々な職場で起きていて社会問題となっています。

国が去年12月から今年1月にかけて実施した実態調査では、過去3年間に従業員からカスハラの相談を受けた企業は28%。
このうち相談の多い業種は、医療福祉(54%)、宿泊飲食(46%)などで、カスハラの内容は、「継続的・執拗な言動」、「威圧的な言動」、「精神的な攻撃」(脅迫・暴言等)、その他セクハラ、居座り、長電話、暴行などとなっています。

こうした中、鳥取県は、カスハラ防止対策を強化するためのプロジェクトチームを立ち上げ、6日に初会合を開きました。

県では、2003年に県職員が刃物で襲われる傷害事件が発生したのを契機に、翌年、不当要求行為に対する要綱とマニュアルを整備。警察とも連携し、各部署に対策責任者を置いて継続的な研修を行っていますが、改めて民間企業などの現状も把握し、対策を強化することにしました。

会合では、カスハラに対する県、民間企業、福祉施設、学校などそれぞれの取り組みが紹介されたほか、国が企業に対してカスハラ対策を義務付ける法改正の検討を始めたことなどが報告されました。

県に対するカスハラ事案は、年間10~20件ほどあると言い、マニュアルに沿って対応していて、大きな問題は起きていないということです。

【事例(1)】
地方機関において「自動ドアに当たりケガをした。治療費を出せ。職員の対応をYouTubeに掲載する」などの発言を繰り返し、対応職員を恫喝。110番通報による警察官臨場によって、行為者は一度退庁したが、後日、謝罪を求めて再び来庁した。

◆県の対応不当要求行為等対策専門員が出向き、地方機関側に非がないことを確認。行為者から回答を求められた場合、組織として非がない旨を回答することや、むやみに謝罪することなく組織一丸となって毅然と対応することを指示。その後、行為者が再び来庁したが、課長と課長補佐の毅然とした対応により行為者は退去した。

【事例(2)】
ある相談窓口の特定職員(女性)に対して、相談を執拗に要請。電話だけでなく職場にも来所するため、当該職員は不安を感じていた。

◆県の対応有事の際や身の危険を感じた時は110番通報すること、有事ではないが身の危険を感じた時は、県警察安全課に電話することなど対応を確認。相談者が来所した際には、相談窓口、県民課、県警が連携して対応するよう情報共有した。

プロジェクトチームでは、8月ごろに企業、労働者への実態調査を行うとともに、事業者や業界団体へのヒアリングを行い、国の法整備の動きも注視しながら必要な対策を検討していきたいとしています。

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