山形屋再建へ株主も思い一致「愛される百貨店へもっとお客さまを大事に」 ADR成立後初の定時総会は30分で終了

定時株主総会で配られた袋を持つ株主=13日、鹿児島市の山形屋前

 私的整理の一種「事業再生ADR」を活用して経営再建に取り組む山形屋(鹿児島市、岩元修士社長)は13日、同市で定時株主総会を開いた。出席者によると、岩元純吉会長からは「ADRを使う再建計画がベストな選択だった」という趣旨の説明があり、これまでの経緯や今後の事業再生計画などの報告があった。

 株主総会では、同計画に盛り込まれている組織再編や初めて外部役員を受け入れる人事など計4議案が承認された。同社や参加者によると、株主からの質問などはなく、ほぼ例年通り約30分で終了した。

 組織再編では、国分山形屋や川内山形屋など関連6社を8月1日付で山形屋に吸収合併。役員人事では、メイン銀行の鹿児島銀行から出向者1人を取締役に据え、外部からの視点で経営改善に取り組む。

 スピード感を持って業務に当たる狙いで、現場を指揮する執行役員制を導入。取締役は経営の意思決定に専念する。役員数は13から8へ減るが、執行役員を含めた報酬総額は変えないため、経費削減効果はない。

 株主総会は例年5月中旬から下旬にかけて開かれる。今回は同月28日の事業再生ADRの成立を待ち開催し、株主351人のうち43人が会場へ足を運んだ。

 出席した男性(82)は「社長に『これからも愛される山形屋のためにもっとお客さまを大事にしよう』と提言した。再建に向けて不安はない」。別の80代男性は「総会は荒れることなく進み、株主側もよりよい山形屋へ再建しようとの思いで一致した」と話した。

定時株主総会を開いた山形屋。催事初日で開店前から多くの客が足を運んだ=13日、鹿児島市金生町

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