宮城の料理店、輪島塗うな重で恩返し 東日本大震災後、輪島から漆器

輪島塗の器で用意されたうな重=輪島市大屋小

 輪島市大屋小で24日、宮城県石巻市の「割烹滝川」によるうな重200食の炊き出しがあった。同店は東日本大震災で輪島塗の器を失った後、輪島の漆器店から漆器の無償提供を受けて営業を再開した経緯がある。阿部司社長は恩返しの気持ちを込めて焼いたウナギを輪島塗のお重に詰めて被災者に振る舞い、元気付けた。

 滝川は以前から輪島塗製造販売「尚古堂」と取引があり、2011年の東日本大震災後は同じく輪島塗を作る「藤八屋」からお重の提供を受けた。石巻市の飲食店経営者が地震後、輪島市で炊き出しを続けていることを知り、受けた恩を返したいと参加した。

 この日使ったお重のうち、傷んできたものは輪島の漆器店に修理に出すことにしており、阿部社長は「伝統文化は大切にしていかなければならない」と強調した。

 藤八屋の塩士正英代表は「輪島の支援に来てもらってうれしい」と喜んだ。24日夜は大屋小で焼きそばやフランクフルトなどを用意した。

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