祈念式典「平和への誓い」 岡信子さん(92) 被爆者代表の最高齢

岡信子さん

 長崎市は2日、長崎原爆の日(8月9日)の平和祈念式典で「平和への誓い」を読み上げる被爆者代表に、同市住吉町の岡信子さん(92)を選んだと発表した。選定方法が公募制になった2017年以降、女性が選ばれるのは初めて。
 岡さんは16歳の時、爆心地から1.8キロの同市東北郷(現・住吉町)にあった自宅で被爆。当時は大阪の看護専門学校の学生で、帰省していた。左半身に無数のガラス片が刺さるけがを負いながらも、新興善国民学校の救護所に召集され、過酷な状況で救護に当たったという。
 今年は県内外の20人(男性12、女性8)が応募した。被爆者ら5人でつくる選定審査会が2日、市内で最終候補者7人のスピーチ映像などを見て検討。岡さんは救護現場などの状況を鮮明に語った。審査会は90歳を超えてなお「平和への誓い」の代表者として応募した強い意志も評価し、最終的に全会一致で決めた。
 会見を開いた審査会の調漸会長(65)=長崎大教授=は、岡さんについて、医療者としての被爆体験を語ることができる、数少ない被爆者の一人と指摘。数年前まで自らの体験をほとんど語ることがなかったことから「知られていない人を掘り起こし、長崎から発信することが大切ではないか」と述べた。
 今年の式典は新型コロナウイルス感染防止のため昨年同様、参列者を500人程度に縮小して開催する。


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