9回一挙7点 注目カードは大崎に軍配 第103回全国高校野球長崎大会 第8日

【3回戦、大崎―創成館】9回表大崎無死満塁、村上が右前に同点適時打を放つ=県営ビックNスタジアム

 第1試合の開始1時間以上前から駐車場で大渋滞が起こり、スタンド改札口はプレーボール以降も混雑するなど、その注目度は群を抜いていた。3回戦で実現した第1シード大崎と創成館の好カード。「正直、一番びびったというか、大事な一戦と思っていた」。九回逆転で値千金の勝利をつかんだ大崎の清水監督は言った。それほどハイレベルで、価値ある内容だった。
 創成館の適時打2本に対して、大崎は一、三塁からの重盗を決め、七回終了時で1-2。期待通りの接戦の中で八回、創成館の松永に右翼席2ランを運ばれた。低めへ外れるカットボールで、打たれたエース坂本が「意味が分からない」と苦笑いで相手をたたえたほどの一振り。球場の空気を含めて流れは完全に創成館へ傾いたが、ドラマは待っていた。
 九回、先頭は田栗。「(1-4の場面で)うちは初球から振っていくようなレベルではない」と冷静で、3球目の変化球を中前へ。その後は3四球をもらい、4連打などで同点、逆転、一気にリードと畳み掛ける攻撃は、まさに強豪校のそれだった。本来3、4番の村上、調を1、3番に起用した打順も結果的に最後に決まった。
 村上、調のほか、昨秋の九州Vに貢献しながらレギュラーから外れた途中出場の乙内、初回に自らの捕球ミス(記録は安打)から先制点を許した川口も大事な場面で適時打を記録。ライバル撃破とともに、チームの雰囲気を高める上でも好材料が多い試合になった。
 これで悲願の夏切符、春に続く甲子園まであと3勝。目標は創成館に勝つことではない。坂本は「どのチームよりも練習してきた底力が出た。夏は本当に何があるか分からないが、これで勢いに乗って勝ち上がりたい」と苦戦を前向きに捉えていた。

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