不安な2学期

 遠い昔日を思い出すような一句が先日の本紙「ジュニア俳壇」にある。中学3年の浅山咲空さんが詠んだ〈宿題し終わり感じる夏休み〉。8月も終わりになって、宿題の山に手を付ける。すると、ああ、夏休みが去って行くな…という感じがする▲夏の終わりを実感しながら、宿題もなんとか終わっただろうか。多くの学校できょう2学期が始まる。例年ならば、静まり返った校舎に活気が戻り、子どもの生活が切り替わる時期に当たる▲今年はいつもの夏休み明けとは様子が違う。子どもが新型コロナに感染する例が増え、用心に用心を重ねての「学びの場」の再開になる▲学校で子どもから子どもへ、家庭で子どもから家族へと感染が広がりかねない。県教育長はこの先2週間、「最大限の警戒」をするよう学校に求めた。不安な2学期を迎えた子どもは、ごまんといるに違いない▲やがて体育祭に文化祭と行事も盛んになるが、差し当たり延期する学校が増えるだろう。不安と用心の日々の先に、思い出の場面が遅れて巡ってくるといい▲以前の「ジュニア歌壇」に中学生らしい一首があった。〈わたくしはナルシストかな二学期で成長をした自分に感動〉。心ひそかに自分の成長に胸を張っている。今は浮かない顔の君にも、やがて「実りの2学期」が残ることを。(徹)

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