韓国の経団連、TPP加盟希望も中国の「地雷」踏み弁明

日本などが主導するCPTPP(包括的・漸進的環太平洋経済連携協定)に中国と台湾が加盟申請をし、中国が台湾の加盟に反対する事態となっている。そのような中、韓国では先日、最大規模の経済団体が台湾とのCPTPP同時加盟を提案していたが、中国紙から「攻撃」されていたことが分かった。

参考記事:韓国通商大使「日本の輸出規制は国際信頼を阻害…多くの国が共感」「TPPは日本主導ではない」

日本の経団連に相当する韓国全国経済人連合会(略称:全経連)は今月7日、「韓-台湾経済協力委員会」を開催し、韓国と台湾のCPTPP同時加盟を提案した。

韓国メディアなどに報道によると、全経連はこの同イベントにおいて、キム・ジュン京紡(キョンバン=韓国の著名企業)会長を「韓-台湾経済協力委員会」韓国側委員長に選任した。キム・ジュン委員長はあいさつで、「韓-台湾経済協力強化のための課題として、《投資保障約定》、《二重課税防止約定》の締結と韓国、台湾両国のCPTPP同時加盟を提案する」と語った。

全経連の「韓-台湾経済協力委員会」紹介ページでは、「韓-台湾両国間の経済協力増進案を議論する予定である」というフレーズや、韓台の両国旗があしらわれていたのだが、これに中国紙が嚙みついた。

中国人民網は翌日の8日、上記紹介ページについて、台湾の国旗である「靑天白日旗をまるで国旗のように表現したイメージを確認することができた」と指摘した。

そして、中国ネットユーザーらのコメント、「世界には1つの中国のだけが存在するが、台湾は中国の一部である」「一つの中国という原則は、絶対に譲れない」「韓国企業が中国でお金を稼ぎながら、中国を尊重しないのは大きな問題」などを引用して伝えた。

これに関連し、全経連側は「プレスリリースやホームページに表記された両国は、単に双方の旗をあしらっただけ」とし「全経連は台湾を独立国家として認めていない、中国の両岸については、韓国政府と同じ立場を堅持している」と弁明した。また、韓国と台湾のCPTPP同時加盟の提案については、「中国政府の立場を事前に知っていたなら(CPTPP)の話をしていなかった」と述べたと人民網は伝えた。

思わぬ「地雷」を踏んで弁明に追われた全経連だが、CPTPPに関しては米国の復帰も予想されていることから、韓国でも加盟への議論が高まる気配だ。

日本の輸出規制(輸出管理強化)時に通商交渉本部長を務め、昨年はWTO事務総長選で最終候補にまで残ったユ・ミョンフィ経済通商大使は23日、メディアとのインタビューにおいて、CPTPPに「加盟した方が良い」と述べた。韓国の複数の経済紙もCPTPPへの韓国加盟を促す報道をしている。

ちなみに、CPTPPへの加盟には、既存加盟国の全会一致での賛成が必要となる。中国が台湾の加盟を反対しても、中国自体が現在において「審査される側」であるため、これを拒否する権限は持っていない。一方で、韓国が加盟申請をする場合、既存加盟国である日本が「審査する側」に立つことから、輸出規制なども絡み「居心地の悪さ」を韓国側は感じるかもしれない。

参考記事:韓国系米紙「日本は国運が尽きた残念な国」「一つの井戸を掘るだけの垂直思考」

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