長崎新聞社が情報窓口「ナガサキポスト」のLINE(ライン)で、「秋」をテーマに写真を募集したところ、今月5日から13日までに登録者87人から計194枚が寄せられた。
最も多かったのは、紅葉やイチョウ、コスモスなど木々や花の写真。「秋」を探そうと、登山やジョギング、散歩をして体を動かしたというエピソードも多かった。
柿や梨、焼き芋など「食欲の秋」を表現する写真や新型コロナウイルス禍を思わせる投稿も。読者が見つけた「秋」の一こまを特集する。(橋本真依)
◎家庭に四季届ける花店
「花どころ かん」=長崎市片淵3丁目=
花店が「秋」の訪れを教えてくれました-。長崎市の馬場英徳さん(65)、池下弘之さん(65)はそれぞれ、同市片淵3丁目の「花どころ かん」が制作したフラワーアレンジメントの写真を投稿。毎年10月に同市伊良林2丁目の若宮稲荷神社の秋の大祭で奉納される「竹ン芸」をモチーフに、竹の上で曲芸をするキツネが表現されている。
店主の松尾和美さん(57)は店頭販売のほか、週替わりのアレンジメントを登録客に送る定額サービスも行う。「いつも同じ見た目だと飽きてしまう」。ひな祭りやかき氷、花火など多彩なテーマで、家庭に四季を届けている。
松尾さんにとっての「秋」は長崎くんちだ。今まで毎年の演(だ)し物をアレンジメントにしてきたが、新型コロナの影響で2年連続の中止。「催しがなく寂しい。お客さんが秋を感じられる商品を」と、竹ン芸の作品を作ることにした。
写真を見てキツネの体の反りや腕の開き方を研究。紙粘土や和紙を使って再現した。手間と時間をかけた分だけ、来年の開催を願う気持ちも強くなった。
◎やっと再会 孫パシャリ
溝口義幸さん(62)=諫早市多良見町=
諫早市多良見町の兼業ミカン農家、溝口義幸さん(62)は今月、愛知県に住む初孫の隼煌(しゅんき)ちゃん(1)と会えた喜びを伊木力ミカンと共に写真に収めた。ビデオ通話の画面でしか顔を合わせられなかった初孫。初めて一緒に「秋の思い出」を作ることができた。
隼煌ちゃんが昨年3月に県内で生まれてから、1年7カ月ぶりの再会。新型コロナ禍で帰省を控えていた溝口さんの三女幸美さん(24)と2泊3日で訪れた。今月7日、雲一つない青空が広がる絶好のシャッターチャンスが巡ってきた。隼煌ちゃんを自宅裏のミカン畑に連れ出して、パシャリ-。
溝口さんにとって「秋」といえばミカン。3千坪ほどある畑で、丹精込めて育てた“わが子”の収穫を始める季節だ。「撮影中、木になっているミカンを隼煌が触ってくれた」と頬を緩める溝口さん。「収穫の時季には毎年、会いに来てほしい」と、一緒に収穫する未来を思い描いている。