若者の地場企業就職を支援 長崎大4年の宮川さんが起業 人口流出解決へ 

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学生の就職活動や中小企業のPR活動を支援する宮川さん=長崎市築町の事務所

 転出者が転入者を上回る「転出超過」が2018、19年に2年連続して全国ワースト1位となった長崎市で、若者の流出を食い止めようと起業した大学生がいる。長崎大教育学部4年の宮川智慧さん(21)だ。地場企業で就職しようと考える大学生を増やそうと今年5月、学生の就職活動や中小企業のPR活動を支援する会社「PAL FLAGs(パルフラッグス)」を立ち上げた。
 熊本県出身で、英語教師を目指し長崎大に進学。地方の人口減少問題に関わり始めたのは、昨年4月に地場企業を学生に紹介する学生団体「スマイリース」を設立してからだ。長崎市の転出超過数が全国の市町村で最多と知り、学生の目線で何かできないかと考えた。
 スマイリースの活動の中心は、学生に人気の写真共有アプリ「インスタグラム」での企業紹介。インターネットで「長崎 企業 一覧」と検索し、出てきた企業一つ一つに掲載許可を取る。学生に関心を持ってもらう突破口として、会員制交流サイト(SNS)で接触回数を増やす狙いだ。だが「自分たちで情報発信をしている」「大手就職情報サイトを利用している」と断られる場合が多い。
 それでも掲載企業を増やそうと活動を続けるのは、地場企業の発信が学生に届いていないと感じているから。どんどん発信しないと埋もれる時代だからこそ、発信した情報を学生に認知してもらうことが重要だ。現在は、学生が暇つぶしに読むようなやわらかい見た目のコラムや動画に、地場企業の紹介を絡めるなど、いかに学生に届く発信をするかを模索している。
 この活動の延長にあるのが、今年起業したパルフラッグスだ。スマイリースで関わった県内企業の子会社として学生4人で創業し、自身が社長を務める。企業や学生の仲間と各地で旗を掲げ、地方創生の輪を広げようという思いから社名は英語で「仲間」を意味する「PAL」と、「旗」を意味する「FLAGs」をつなげた。企業と大学生をマッチングさせる就職支援サイト「ミツカル」や、大学生、高校生らの交流拠点「ながさき若者発信基地 Build Space」(長崎市築町)の運営、企業のPR動画の企画提案に取り組んでいる。
 来春の卒業に向けて論文の執筆に追われる多忙な日々を送り、卒業後も教員にはならず社長業を続ける。今はまだ人口減少の解決に向けて踏み出したばかりだが、長崎を「将来性があるから県内企業で働きたい」「進学や就職で県外に出ても、外の空気を吸った後で帰ってきたい」と思える場所に変えていきたい。