金額よりも付き合いにこだわりローンや保険を決める夫に悩む妻「協力してお金を貯めたいのに」

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、44歳、専業主婦の女性。主に夫が家計を管理していますが、唐突に高額な支出をしたり、金額よりも付き合いにこだわってローンや保険を決めてしまうことに不満を持っているといいます。どうすれば夫と協力して家計を改善できるでしょうか? 家計再生コンサルタントの横山光昭氏が運営する『マイエフピー』のFPがお答えします。


主に夫が家計を管理しているのですが、無駄が多いような気がしてなりません。これから教育資金、老後資金などを貯めていかなくてはならず、余分にお金を使っている場合ではないと思うのですが、予定もしていなかったのに急に家の外壁の修理に150万円も使ったり……。何を考えているのかわかりません。

夫は、住宅ローンは「工務店さん紹介の金融機関だから」と2%近い金利でローンを組み、借り換えを提案しても応じてくれません。生命保険もしばらく見直していないので、見直すべきだろうというと、「知人から入ったから変更はしない」と。

人付き合いを大切にしているのでしょうが、このままだと支出ばかりが膨らみ、家計がおかしくなってしまうのではないかと不安です。

私は毎月の生活費として12万円を受け取るだけなので、収入や支出、貯金額などお金の全体的なことが分かっていないことも不安になる原因かもしれません。ですがそれ以上に、ムダな支出が多いような気がしてならないのです。

夫の考えを変化させるには、どのように働きかけると良いでしょうか。また、実際、我が家の家計は問題がない状況といえるのでしょうか。

【相談者プロフィール】

・相談者:44歳、専業主婦

・夫:50歳、会社員 ・長男:11歳、小学5年生

・手取り収入:月収35万4,000円、年間ボーナス約130万円

・貯蓄:預貯金約250万円

・毎月の支出の目安:36万円

【毎月の支出の内訳】

・住居費:8万7,000円(駐車場、管理費)

・食 費:6万8,000円

・水道光熱費:2万円

・通信費(スマホ2台、ネット回線):1万8,000円

・生命保険料:2万4,000円

・生活日用品:1万2,000円

・医療費:8,000円

・教育費:3万6,000円

・交通費:8,000円

・被服費(クリーニング代含む):5,000円

・交際費:3,000円

・娯楽費: 5,000円

・小遣い:5万円(夫4万、妻1万円)

・その他:1万6,000円(新聞・NHK・理美容など)

FP:夫婦別財布の家計管理なので、互いの支出状況が見えづらく、家計の全体を把握できていない状況のようですね。どのようにすれば夫と協力体制をつくっていけるのか、一緒に考えてみましょう。

お互いの家計状況を共有する方向に持っていくには?

夫婦別財布の家計はよくあるのですが、お互いのお金の使い方がわからないと、家計の全体もわかりにくいですし、お金も貯まりにくいものです。今感じていらっしゃるように、節約できそうな部分も節約ができないということも起こります。ご相談者のご家庭は、まさにその状況だと思います。

改善するには、ご夫婦でお金の話ができるようになることが一番です。とはいえ、今までお金の話をしてこなかったご夫婦が、お金の話をはじめるのは大変だという話も聞きます。お子さんの教育費を貯めることや、近いうちに購入しようと思っている物の資金作りの相談などをきっかけに、ご夫婦でお金の話ができるようになると良いですね。

家計に関心のない配偶者が、支出を数字で見ると興味を持つ、余剰金を元手に投資を始めることを提案するとやる気スイッチが入ったり、モチベーションが上がったりすることもよくありますから、根気良く、家計状況を伝えていくことが、今できることではないでしょうか。

「あなたの支出を教えて」と要求するだけではなく、ご相談者自身のやりくり状況やお金の貯まり具合なども開示し、互いの情報を共有できるようにしていきたいですね。

老後資金の不足を数字で見せる

貯金額を顧みず、急に外壁修理に150万円を使ってしまうなどの無計画さがある夫。貯金することを軽視している印象を持ってしまいます。

もしかすると、夫は退職金が入れば老後資金は十分足りるなど考えているのかもしれません。ですが、教育費なども考慮すると、それだけでは足りないことを、ご相談者は感じていらっしゃるのだと思います。

ご主人は50歳ですから、誕生日ごろに届く「ねんきん定期便」に、65歳から受け取れる年金額が書かれるようになります。これが年金生活における生活費のベースになりますので、それと毎月かかる生活費の差額を出し、そこから、老後の生活の中で老後資金から切り崩さなければならない金額を算出してみましょう。

その金額と、お子さんの教育費として必要な金額を足し算すると幾らになるでしょうか。ご主人が受け取る退職金額で足りるでしょうか。

まずは大雑把に計算して、現状でお金が足りているのかを見せると、お金の使い方、貯め方を見直すきっかけにできるかもしれません。

買い物の仕方を変えたり「ノーマネーデー」を作って支出の削減を

40代、50代の方は、教育費を貯める傍ら、老後資金作りも考えなくてはいけません。その1つの方法として投資を始めることも良いと思います。ただ現状の貯蓄では最低限の「生活防衛資金」がもうすぐできるかなというところだと思いますから、もし、投資を始めてみたいと考えるなら、毎月の余剰金を安定して出すことが大切になります。

家計表を見ると毎月赤字になっている状況と言えますから、まずはそこの改善をしたいものです。

食費、日用品代は、まだ見直しの余地があります。食材の無駄を見直したり、買いだめの仕方を見直したりすることで、支出を減らせる可能性があります。また、これらを1週間の予算で管理し、週に1~2日ほどお金を使わない「ノーマネーデー」を作っていけると、自分たちに必要な食材、日用品が把握できるようになり、お金の使い方も効率化していけるのではないかと思います。

夫の管理する固定費の見直しも

さらに、夫が管理するスマートフォン利用料の契約プランを見直したり、生命保険の保障を現状に合ったものに見直したりできると、より支出を下げられる可能性があります。住宅ローンは、現状のままではやはり金利が高いのではないかと思えるので、インターネットのシミュレーションサイトで借り換え効果を確かめ、実際に借り換えるかどうかを検討してみてもよいと思います。

支出の削減、将来の資金作りには、ご夫婦の協力が不可欠です。夫はご家族のお金の状況が分からないから、契約した人との縁にこだわるのかもしれません。家計の現状を共有できるよう、できるところから取り組み、徐々に家計に巻き込んでいきましょう。きっと良い方に変わっていけると思います。頑張ってください。

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