長崎の未来見据え、人口減対策「包括的」に 大石知事が就任会見 石木ダム「現地に足運ぶ」

初めての記者会見に臨む大石知事=県庁

 大石賢吾知事は2日の就任会見で、子育て支援、雇用創出、医療、教育の充実など「包括的な取り組み」をしながら、懸案の人口減少対策を進める意向を明らかにした。
 知事は選挙戦で人口減少対策として、1人の女性が生涯に産む子どもの推定人数「合計特殊出生率」について「2を目指す」と訴えた。会見では「非常に高いハードルと認識しているが、10年後、20年後の長崎の未来を考えたとき、必ずやり遂げたい」と述べた。
 選挙戦では新型コロナウイルス対策についても経済への影響を考慮して「地域の状況を把握して(県民や事業者に)最低限の要請をすべきだ」と主張。今後感染が再拡大した場合は、飲食店の営業時間短縮や部活動禁止などの要請は「できるだけ柔軟に対応したい」とした。
 石木ダム建設事業の反対住民や、九州新幹線長崎ルートの全線フル規格化に反対している佐賀県の山口祥義知事との面会は「可能な限り早く(会えるよう)日程調整を進めたい」と意欲を示した。
 またウクライナ侵攻を巡り、ロシアのプーチン大統領が核兵器使用の可能性を示唆したが、知事は「核なき世界を目指すという、平和を尊ぶ本県としては強い憤りを禁じ得ない」と強調した。

 <大石知事、一問一答>
 大石知事の就任会見の主なやりとりは次の通り。

 -最初に何に着手するか。
 さまざまな課題が山積しているが、差し迫っているのは新型コロナウイルス対策。また4月に区域整備計画を国に提出するIR(カジノを含む統合型リゾート施設)などはスケジュールに合うように取り組みたい。

 -石木ダム建設事業では中村法道前知事も就任当初に現地で反対住民と対話を試みたが実現しなかった。どのような努力をするのか。
 会ってもらえるまでアプローチしたい。私自身も現地に足を運び、そういった機会を探していきたい。

 -石木ダムの水没予定地に暮らす反対住民13世帯の家屋を強制撤去する行政代執行の判断は。
 最終手段だと思う。まずはしっかりと対話による解決を目指したい。

 -九州新幹線長崎ルートの未着工区間(新鳥栖-武雄温泉)の整備方式は。
 フル規格での一日も早い全線開通を目指す。

 -県内では転出が転入を上回る「社会減」と、死亡者数が出生者数を上回る「自然減」で人口減少が進んでいる。「社会増」も「自然増」も目指すのか。それとも人口減を一定受け入れながら住みやすいまちづくりを進めるのか。
 自然増と社会増の両方が理想だと思う。適正な人口はどこかと問われると非常に難しい。自然減が急にプラスに転じるのは難しいが、将来人口を維持できるような状態をつくらなければならない。

 -18歳までの医療費助成を掲げているが、21市町との協力が欠かせない。財源もどう確保するのか。
 各市町の対応は異なっている。(県は未就学児の医療費を助成しており)昨年度の市町への支援は約6億円で、それ以上の予算が必要。財源をどう確保できるのか関係部署と協議したい。

 -中村前知事は広島原爆の「黒い雨」被害者と同様に、長崎原爆の被爆体験者を救済するよう国に要請する方針を示していた。
 (前知事と)同じ立ち位置でしっかりと救済を求めたい。

 -知事選では女性の副知事登用も掲げていた。
 副知事は県政に資する方に担ってもらう重要なポジション。関係者と相談して判断したい。

 -民間人の登用は。
 特にデジタル領域では民間の経験や人材をしっかり取り入れていく。県による雇用だけでなく、(民間との)人事交流など柔軟に対応する。


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