2~3月景気 「持ち直し鈍化」据え置き 観光引き下げ 日銀長崎支店

 日銀長崎支店は9日、2~3月の県内金融経済概況を発表した。新型コロナウイルス感染拡大を受け、景気全体は「持ち直しのペースが鈍化している」と、前回(1~2月)9カ月ぶりに引き下げた判断を据え置いた。宿泊キャンセルなど影響が長引いている観光は「落ち込んだ状態となっている」と3カ月連続で引き下げた。
 まん延防止等重点措置の適用で営業に制限を受けた飲食などのサービス消費も下押し圧力が強い状態が続いている。一方、財消費は堅調で、高水準で推移するまちづくり関連の公共投資や企業の設備投資、電子部品を中心とした生産活動も増加基調で景気を支えていると分析。鴛海健起(おしうみたけゆき)支店長は「長崎の景気が全体として腰折れという状況には至っていない」とした。
 ウクライナ情勢が県内経済に及ぼす影響については、ロシアが世界のシェア上位を占める天然ガスや原油、小麦、金属の価格上昇圧力が高まっていると指摘。貿易取引の直接的な影響は小さいものの、電気やガス、ガソリン価格という間接的な形で比較的幅広い業種のストレスになっていく懸念を示した。
 今後の見通しについては、飲食店や観光施設の営業再開で集客も徐々に回復すると予測。ただ、県内外の感染症の動向に加え、ウクライナ情勢の緊迫化で「不確実性やリスクは先月より大きくなっている。回復途上にある県内の景気に悪影響を及ぼすことがないか慎重に見ていきたい」とした。


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