ウクライナ侵攻に衝撃 自分にできること模索 露在住経験の平和大使・神浦さん

自分にできることを模索している神浦さん=佐世保市内

 ロシアがウクライナに軍事侵攻を始めて半月以上が経過した。第24代高校生平和大使で、ロシアで暮らした経験がある青雲高2年の神浦(こうのうら)はるさん(17)=長崎県佐世保市=は、軍事侵攻に心を痛めている。平和大使として、ロシアにゆかりがある者として、自分に何ができるのか-。模索する日々を送っている。
 神浦さんは父親の仕事の関係で2016年4月から3年間、モスクワで暮らした。日本人学校に通い、ロシア語の授業を受けたり、現地の学生と交流したりした。
 子どものころから「世界を平和にする」のが夢で、「高校生1万人署名活動実行委員会」などの活動に携わり、昨年、平和大使に選出された。

  侵攻に衝撃

 軍事侵攻のニュースを知った時、心配や不安、衝撃で頭がいっぱいになった。「ひとごととは思えない。私が動かなきゃ」。でも、どうすればいいか分からない。そんな時、頭に浮かんだのが、平和活動に取り組む全国の高校生を対象にしたアンケートだった。
 侵攻が始まった2月24日から2日間で、15人から回答をもらった。経緯や現状をだいたい知っている人が8割に上ったが、人に説明できるくらい詳しく知っている人は1人もいなかった。「周りの友人知人はどのくらい関心があるか」という問いには「全く話題に上がらない(関心が全くなさそう)」が約3割。「高校生以下にも分かりやすい記事を出しても良いと思う」「現地の生の声を聞きたい」などの意見も寄せられた。

  差別やめて

 神浦さんは「殺し合いをさせているのは、絶対に許されない」とロシアを強く批判する。一方、ロシア人への誹謗(ひぼう)中傷や嫌がらせが起きていると聞くと悲しくなる。ロシアで暮らしていた時、人々は温かく、被爆地長崎を知らない人はいなかった。「根拠のないロシア人への差別や偏見はやめてほしい」と思う。
 会員制交流サイト(SNS)で連絡を取り合っているロシア在住の友人からは「人が殺されるのは嫌だ。ただ、インターネットでの情報量が多く、出どころが不明なものもあり、今どういう状況か分からない」とのメッセージが送られてきた。ウクライナにルーツがある友人は「祖国がなくなるかもしれない」と心配しているという。

  まずは知る

 神浦さんはアンケート結果を踏まえ、情勢を調べたり、ロシアやウクライナの人などにヒアリングしたりするプロジェクトを個人的に立ち上げた。活動に興味をもってくれた仲間とともに、ウェブサイトやSNSで調べた結果を発信するつもりだ。
 「1日でも早く平和が訪れてほしい」。そのためには、まずは知ることから行動し、できるだけ多くの高校生に関心を持ってもらいたいと思っている。


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