無人島で新人研修 災害対応学ぶ ブラックアウト経験した札幌の企業

火吹き棒を使い火おこしをする澤崎さん(奥)ら=西海市西彼町、田島

 2018年の北海道胆振東部地震で国内初の全域停電(ブラックアウト)などを経験した札幌市の企業が、長崎県西海市西彼町の無人島、田島で7日から1泊2日の新人研修を行い、キャンプを通じて災害時の対応策などを学んだ。
 地震は9月6日未明に発生し、厚真町で最大震度7を観測。道内全域295万戸が停電となるブラックアウトが起き、ほぼ解消するまでに2日間を要した。
 研修をしたのは介護・障害福祉事業などを手がける「3eee(スリー)」。地震による停電などの影響で、加盟店含む約50事業所で通所サービスなどが提供できない状況に陥ったという。研修はこの苦い経験を踏まえ昨年から同島で実施。緊急時に事業継続計画(BCP)にのっとった行動ができるよう、判断力などを身に付けることを目的としている。
 4月に入社した同社事業統括本部の安藤優海さん(22)と児童指導員の澤崎晴香さん(23)ら8人と、外部の介護関連企業から4人が参加。テント設営など拠点づくりをしながら、火をおこしての料理や、落ちていた竹で飯ごうやカップ作りに取り組んだ。
 参加者は慣れない気候と環境の中、自分で考え、時には協力しながら技能を習得。研修を終え安藤さんは「臨機応変に対応することの重要性を学べた」、澤崎さんは「利用者を守るために何ができるのか考えさせられた」と振り返った。

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