新型コロナウイルスの感染が急拡大する中、栃木県内の自宅療養者は29日時点で1万8579人に上っている。このうち軽症者ら約1万人に対しては、県の委託を受けた「フォローセンター」が携帯電話のショートメールなどによる健康観察を行っている。ただ、県は自宅療養者の委託分を最大7千人と想定していたこともあり、連絡が行き届かないケースも生じている。
同センターは、70歳未満の軽症や無症状者の健康観察を担う。携帯電話のショートメールで、感染者自身に健康状態などを記録する国のシステム「My HER-SYS(マイハーシス)」への入力を促し、経過を確認。携帯電話を持たない人には固定電話に連絡したり、システム未入力者に電話で催促したりしている。
運営事業者は公募型プロポーザルで選ばれた旅行大手の阪急交通社(大阪市)で、センター機能はさいたま市内に置いている。
県感染症対策課によると、センターで対応する対象者が7千人を超えたことに伴い、阪急側も人員を増やして対応しているが、電話をかけきれなくなっているという。
療養者からの相談を受け付ける回線も繋がりにくくなっており、重症化リスクの高い療養者の対応に専念するはずの保健所に相談がいってしまう事態にもなっているという。
全国の自宅療養者数が急増する中、厚生労働省は22日、重症化リスクが低い人への健康観察を簡略化できると自治体に通知した。
これを受け県も今後、センターからの連絡の頻度を減らし、療養者から寄せられる相談対応に軸足を移す方向で調整している。
同課の担当者は「業務の見直しを進め、まずはセンターにかかってきた電話にきちんと対応できるようにしたい」と説明した。