夫42歳妻34歳子13歳。銀行預金は1100万円、貯金は毎月10万円。老後資金は大丈夫?

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、34歳、派遣社員の女性。42歳の夫と13歳の子どもと暮らす相談者。将来の年金額がわからず、今のままの貯金のペースでよいか心配とのこと。老後資金は足りるでしょうか? FPの飯田道子氏がお答えします。


夫の将来の年金がはっきりわからない分、定年までにどのくらい貯めるのがよいのか、今の貯蓄ペースで大丈夫なのか心配です。

42歳、会社員。手取り年収264万(月22万)、ボーナス年30万です。妻(私)34歳は派遣社員 で、手取り年収約100万(月約8万)です。子どもは1人(13歳)。生活費に17万ほど使い、貯金は約月10万です。預金は現金のみで1,100万円あります。

老後は、夫婦で今より少し質素な暮らしでもいいとは思っていますが、抑えても月15万程度にはなりそうです。夫の転職や、派遣から社員へ変わることは、今のところ考えいません。

アドバイス宜しくお願いいたします。

【相談者プロフィール】

・女性、34歳、派遣社員

・家族:夫42歳(会社員)、子ども13歳

・住居の形態:賃貸(中国地方)

・毎月の世帯の手取り金額:30万円

・年間の世帯の手取りボーナス額:30万円

・毎月の世帯の支出の目安:17万円

【毎月の支出の内訳】

・住居費:6万3,000円

・食費:4万円

・水道光熱費:1万円

・教育費:5,000円

・保険料:3,800円

・通信費:8,000円

・車両費:4,000円

・お小遣い:5,000円

・その他:日用品3,000円、予備 2万円

【資産状況】

・毎月の貯蓄額:10万円

・ボーナスからの年間貯蓄額:20万円

・現在の貯金総額(投資分は含まない):1,120万円

・現在の投資総額:0円

・現在の負債総額:0円

飯田:今回は、政府の方針が頻繁に変わってしまうため、将来の年金がどれくらい貰えるのかが分からず、定年までにどのくらい貯めるのがよいのか、心配をしている相談者様です。老後についてもイメージされており、夫婦2人で今より少し質素な暮らしでもいいとは思っているようです。少なくとも月額15万程度の支出は必要になると考えているとのこと。相談者様の場合、定年までどれくらい貯めて行くべきなのか、また、今のペースで貯蓄をしていて大丈夫なのか、考えてみましょう。

ライフプランを明確にする

どれくらい貯蓄をすれば良いのかを考える前に、今後のライフプランをどのようにするのか、どのような生活を送りたいのかを明確にすることからはじめましょう。

まず、お子様は現在一人ですが、第二子を望むのかどうか、また、現在は賃貸で暮らしていますが、持ち家を購入する予定はあるのかなどを考えてみてください。その他にも、親の扶養、介護をしなければならないのか、相続する土地や家屋、財産などがあるのかなども大切なポイントになります。

自分たちのことは夫婦で話し合い計画することができますが、親に関することは夫婦だけでは分かりません。何も決まっていないような状態なら、ご両親は将来の生活について、どのような考えをお持ちなのか、確認しておくと良いでしょう。

ライフプランが明確になったら、どれくらいの費用が必要になるのかを計算します。その上で、いくら貯蓄に回すことができるのかを考えていくと良いでしょう。

今のペースで貯蓄をしたら、どうなる?

現在は、毎月10万円を貯金し、ボーナスとして20万円貯金しているとのこと。これらを踏まえると、年間で140万円貯まる計算です。夫は現在42歳。60歳で定年を迎えるとした場合、あと18年間貯めることが可能です。

140万円×18年=2,520万円。

現在の預貯金残高1,120円ですので、今のペースのまま貯蓄を続けることができれば、夫が60歳のときには、3,640万円が貯まっている計算になります。

60歳以降の生活費はどうなる⁈

夫が60歳で定年退職をした場合の生活費はどうなるのでしょうか?

生活費を15万円とした場合、収入は相談者様の月額8万円のみになります。単純計算で毎月7万円の赤字になるため、年金が受給できる65歳までの5年間で420万円を預貯金から切り崩すことになります。この場合、夫65歳のときの残高は、3,640万円-420万円=3,220万円です。

65歳から年金受給した場合の年金額は、厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業の概況」(令和2年度)のデータによれば、平均14万6,145円です。平均額が受給できている場合には、約1万円を上乗せできれば、預貯金を切り崩すことなく生活費を賄うことができます。

夫が65歳の時点で相談者様は57歳ですので、あと3年間は8万円の収入が得られるため、預貯金を切り崩すことなく、生活できることになります。

相談者様の収入が途切れ、世帯の収入が夫の年金のみになるのは、夫68歳、相談者様60歳のときです。この時の不足分は1万円で、5年間で60万円必要になります。ただし、夫が年金を貰い始めた時点でも相談者様は働き続けていますので、預貯金の上乗せができているはずです。夫65歳の時点での預貯金額3,220万円から、教育費として1,000万円取り崩したとしても、2,220万円が手元に残っていることになります。

年金が平均額もらえれば、このままのペースで問題なし

頂いたデータをもとにシミュレーションしたところ、もし年金が平均額程度もらえるのであれば、今のペースで貯蓄をしていけば大丈夫です。これからお子様も大きくなり、今以上にお金がかかりますので、無理をして預貯金額を増やす必要はありません。これを一つの目安に、お二人がもらえる年金を、ねんきん定期便やねんきんネットで確認してください。

もし、もらえる年金が平均を大幅に下回っていたり、ライフプランの変更によって今のペースで貯蓄できなくなる場合には、その都度見直しをし、いくら貯蓄ができるのかをシミュレーションしてみてください。そして必要ならば、働き方の変更や年金受給開始を繰り下げるなどの手段を取ると良いでしょう。

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