玄海原発事故に備え原子力防災訓練 長崎県など避難手順確認 

衣服に放射性物質が付いていないかチェックするなどした原子力防災訓練=佐世保市、三川内地区コミュニティセンター

 九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)での災害発生を想定し、県などは29日、原子力防災訓練を実施した。県民や自治体職員ら計約1200人が参加し、関係機関との情報共有や避難手順などを確認した。
 佐賀県を震源とする震度6弱の地震が発生し、運転中の4号機の炉心を冷却する全ての機能が停止、放射性物質が施設外に漏れたとの事態を想定し行った。九電からの通報を受け、国が原発から半径30キロ圏内の避難指示を発令。国とのテレビ会議には本県のほか、佐賀、福岡両県なども参加し情報共有を図った。
 災害対策本部長の大石賢吾知事は県内の関係自治体の状況を確認し「住民の安全確保を最優先に、落ち着いて迅速かつ確実に避難できるよう正確な周知広報を」と指示した。避難先となった佐世保市の三川内地区コミュニティセンターには江迎地区や平戸市田平地区の住民がバスで到着。陸上自衛隊や自治体職員らが車両や住民の衣服に放射性物質が付着していないか機械で調べ、汚染を確認するとシートを使って除菌した。
 被災住民登録や甲状腺被ばくを防ぐ安定ヨウ素剤の配布の手順なども確認。訓練に参加した佐世保市江迎町の今由雄さん(80)は「流れが分かり、万一の時も落ち着いて避難できそう」と話した。大石知事が現地を視察した。
 訓練は2002年度から実施。13年度以降は原則佐賀、福岡両県と合同で行っている。今回松浦市は日程が合わず別日に実施する。

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