長崎県内唯一の女子野球チーム 「ビクトリア長崎」結成10年 地元高校に受け皿を

結成10年を迎えたビクトリア長崎の学童、中学部の選手たち=長崎市、県営ビッグNスタジアム

 小中学生がプレーする長崎県内唯一の女子野球チーム、ビクトリア長崎が結成10年を迎えた。「野球といえば男子」の印象が強い中で地道に活動を続け、近年は全国的に盛り上がりを見せつつある女子野球。チームはさらなる飛躍に向けて選手を募集すると同時に、地元にはない高校女子野球の受け皿も求めている。

  県代表チーム

 ビクトリア長崎は2012年に県軟式野球連盟を事務局にして発足。現在、学童部に37人、中学部に28人が登録されている。全員が集まる機会は少なく、それぞれ普段は離島を含む県内各地のクラブや部活動などで男子と一緒に練習して試合に参加。ビクトリア長崎は他県の女子と対戦する各種大会が主戦場で、いわば希望すれば入れる“長崎女子代表チーム”だ。
 女子の競技者が増えたことと、学童や中学への呼びかけも相まってチームには少しずつ経験者が定着。学童部は日本野球機構などが主催する「NPBガールズトーナメント全日本女子大会」、中学部は全日本軟式野球連盟主催の「全日本中学女子大会」で夏の大舞台に挑んでいる。
 もう一つの目標が、今年は12、13日に大分県別府市で行われる秋の「ろうきん杯九州女子小学生・中学生大会」での活躍。夏の全国大会とともに、日ごろ各地で培う力と技を結集した“長崎の女子力”を披露する貴重な場になっている。
 練習や試合中はピンチでも笑顔が絶えない。厳原中3年で中学部の山代怜奈主将は「やる気のあるメンバーでやれている。みんな明るく、各チームで教わっていることも共有できる。男子と違う面白さがある」。小佐々中2年の金子晴璃南投手も「めっちゃ楽しい。失敗しても支え合ってプラス思考ができる」と声を弾ませる。

(写真左から)攻守でチームを引っ張る主将の山代、貴重な左腕として活躍が期待される金子=諫早市、高来総合運動公園

  選手を募集中

 女子野球は全国的に熱気を帯びてきた。高校には男子と同様に硬式もあり、大会も春の「選抜」は今年で23回を数えて38チーム、夏の「選手権」は26回目で49チームが出場。いずれも過去最多で春の決勝は初めて東京ドーム、夏は2年連続で甲子園で実施された。3日には日米で活躍したイチローさんが昨年に続いて高校女子硬式選抜と試合をして注目された。
 プロ野球の巨人や阪神なども女子チームを創設したほか、軟式を含めて大学、社会人でも活躍の場が広がってきた一方、県内は中学まで。ビクトリア長崎でも競技をやめる選手が少なくなく、高校はソフトボール部に入ったり、硬式野球部がある九州他県の高校に進学したりする現状がある。
 中学部の横田順治監督は自身の長女もビクトリア長崎でプレーして今春から折尾愛真高(福岡)の硬式野球部に入ったといい「そのステップアップを地元でできればいいんだけど…」と願う。
 そうした機運を高めるためにも、県軟式野球連盟は今後も男女問わず、すそ野を広げていく考えで、さまざまなイベントを計画中。ビクトリア長崎の選手も随時募集している。関心のある人は同連盟ホームページ内の問い合わせフォームから。


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