「鳥インフル被害農家」救済策は? 手当金、経営再開支援も

 全国で鳥インフルエンザ感染が広まり、ついに長崎県の養鶏場でも1例目が確認されました。ニワトリを殺処分されたり、肉や卵の出荷を制限されたりした農家を、行政はどう救済支援するのでしょうか。農林水産省の消費・安全局動物衛生課に聞きました。

 -発生農家は収入源のニワトリを失いました。
 感染のまん延を防止するために、やむを得ず殺処分するため、国が家畜伝染病予防法に基づき手当金を支払います。市場価格などを参考にニワトリの評価額を決め、殺処分した全羽が対象になります。採卵鶏も食用鶏もどちらも当てはまります。
 基本的には殺処分自体も県が実施するので、農家の金銭的な負担はありません。

 -経営再開のための支援はありますか。
 日本養鶏協会や国が積み立てている「家畜防疫互助基金」があります。任意の保険制度みたいなものです。加入した農家に積立金を出してもらいます。1羽当たり10円など家畜の種類によって金額は違います。
 今回の発生農家が加入しているかは分からないので一般論になりますが、ニワトリを導入し直すまでに必要となる空舎部分の固定経費などに対し「経営支援互助金」が支払われます。殺処分したニワトリを焼却・埋却する際に自ら負担した場合は「焼却・埋却等互助金」もあります。

 -他県で手当金や互助金が支払われた実績は。
 手当金は農家が辞退しない限り支払われます。ほとんどの発生農家が受け取っています。互助基金も割と加入率は高いです。いざという時のために、加入をお勧めしています。

 -移動制限区域(発生農場を中心に半径3キロ)や搬出制限区域(同半径3~10キロ)の農家への支援は。
 制限の影響で売り上げが減少した分や飼料費、保管費、輸送費などが通常よりも余計にかかった分が助成されます。例えば、いつもなら50万円売れていたのが、移動制限で40万円にとどまったら、差額の10万円を国と県が半々で出します。30万円の餌代が35万円かかったら、5万円分を助成します。

 -融資もありますか。
 日本政策金融公庫農林水産事業の「農林漁業セーフティネット資金」は、経営の維持安定に使える長期の低金利融資です。発生農家、制限の影響を受けた農家のどちらも対象になります。今の貸付利率は0.30~0.55%。償還期限は15年以内(うち据え置き期間は3年以内)です。限度額は600万円ですが、大規模農場であれば年間経営費などの6カ月分を認める場合もあります。活用する意義は大きいと思います。


© 株式会社長崎新聞社