対話直談判も反対派応じず 3分で終了 大石知事が石木ダム現場訪問

座り込みを続ける反対住民に話しかける大石知事(右)=川棚町

 長崎県の大石賢吾知事は11日、東彼川棚町の石木ダム建設工事現場で抗議の座り込みを続ける反対住民らを訪ねた。昨年9月から途絶えている直接対話の継続を直談判しようとしたが、住民側は「今は(ここに)少人数しかいない。別の日に場を設けて」と拒み、面会は3分足らずで終わった。
 大石知事が現地を訪れるのは同3月の就任以降7度目。このうち2度話し合いの場を持ったが、主張は平行線だった。同12月には対話継続を求める文書を反対住民13世帯に送った。
 ダム本体予定地近くの現場には住民3人と支援者数人がいた。知事が話を進めようとすると、住民の岩下和雄さん(75)は「私たちは話し合いにはいつでも応じる。今日は新年のあいさつだけにして」と伝えた。
 知事は終了後の取材に「ダムの必要性を議論する段階にない」と従来の考えを強調。「県民の安全安心のため、一日も早い完成を目指す。住民に必要性を理解してもらえるよう努力する」と述べた。住民側が求める利水面の説明については「佐世保市と一丸となって対応するため市に同席をお願いしている」とした。
 一方、住民の岩永正さん(71)は「(知事がダム建設のため)動いているという世間に向けてのアピールだろう。県はこれまで、私たちにとって納得できない一方的な話を出し、先に進めることを繰り返してきた」と不信感をあらわにした。


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